AIアシスタント運用ノート — Copilot / Claude Code を相棒として育てるための実践記録(シリーズ目次)
このシリーズについて
このシリーズは、AI アシスタント (GitHub Copilot と Claude Code) を ツールではなく相棒として育てる 視点で書いた、個人の実践記録です。
私は IT 業界でキャリアを積みつつ、毎日 AI アシスタントと一緒にコードを書いています。 ある夜、Copilot に「お願いします」と言ったら 24件の PATCH が一気に走って Qiita API のレート制限を食らった事件 から、すべては始まりました。
「同じ間違いを2度させたくない」その一心で、私は AI アシスタントを「使う」のではなく「育てる」方向に切り替えました。 個人 RAG を作り、LLM で教訓を自動分類し、MCP サーバーで Copilot に外部記憶を持たせ、Claude Code との比較を通して 2つの AI アシスタントの性格の違い まで観察するに至りました。
このシリーズは、その過程で見えたことを 失敗談・実装コード・運用効果込みで 記録したものです。同じように AI アシスタントと長く付き合おうとしている人の、何かしらの手掛かりになれば嬉しいです。
このシリーズは現在も進行中 です。新しい記事は順次追加されます。
なぜ「ツール」ではなく「相棒」なのか
AI アシスタントを使い始めて最初に直面するのが、「同じミスを何度も繰り返される」 問題です。
instructions.md に行動規範を書いて、毎回読ませる。それでも会話の文脈が変われば、AI は同じ罠に踏み込みます。怒っても、謝罪文が返ってくるだけ。次のセッションでは何事もなかったかのように、また同じ判断ミスをします。
ここで2つの態度があります。
- ツールとして使う — 期待しすぎず、毎回小さなタスクだけを頼む。失敗は許容しない代わりに、できることも限定する
- 相棒として育てる — 失敗を記録し、文脈ごと記憶に残し、次回からそれを参照させる仕組みを作る
私は2番を選びました。理由はシンプルで、1番のスタンスだと AI アシスタントの本来の価値(多段階タスクの自走・複雑な調査の代行)が引き出せない からです。失敗を許容しないと、リスクのある自走をさせられない。
ただし、相棒として育てるには AI 側に長期記憶を持たせる仕組み が必要です。LLM 単体には記憶がない。だから外側に作る。それが本シリーズの実装テーマです。
シリーズ構成
現時点のシリーズ記事を、読む順番付きで並べます。
📘 比較編 — 2つの AI アシスタントの性格を知る
| 記事 | 内容 |
|---|---|
| GitHub Copilot を1か月、Claude Code を2日使ってみた — コーディングパートナーとエージェントは、別物だった | Copilot は コーディングパートナー型、Claude Code は エージェント型 / 委任型。両者を実際に運用して見えた強み・弱み・使い分け。AI アシスタントを「育てる関係」として捉える視点の出発点 |
🔧 実装編 — 外部記憶を作る
「相棒として育てる」を実現するための、具体的な実装記録です。
| 記事 | 内容 |
|---|---|
| Copilot に同じ間違いを2度させない仕組み — RAG + MCP で『議論の記憶』を持たせる設計 | ChromaDB + Ollama を MCP サーバー 化して、Copilot がリアルタイムで過去の教訓を検索・記録できるようにする実装。Recency Boost / Priority / session_context 自動エクスポート / Activity Log / 動的閾値 / Atomic Lock の6つの設計判断 |
| Copilot Chat と Claude Code の会話履歴を ChromaDB に投入して『過去の自分』を検索する | VSCode Copilot Chat と Claude Code、2種類の JSONL フォーマットの違い とその吸収設計。ノイズ除去で検索精度3割向上。Claude Code は Stop フックで自動投入 までやる |
| 個人ノートを LLM (Ollama) で5カテゴリに自動分類する — distill パイプラインの設計と落とし穴 | 書きっぱなしの note を lesson / idea / knowledge / profile / conclusion に自動昇格させるパイプライン。雑に作ると 「申し訳ありません」が lesson に分類 される事故 → none カテゴリ明示 + 思考プロセス埋め込み + 事前フィルタの3層対策 |
🧭 設計思想編 — 5年付き合える相棒を作るための原則
| 記事 | 内容 |
|---|---|
| AI に5回訂正された夜 — 個人 RAG を5年付き合える相棒にする設計思想 | Claude Code との一晩の対話で見えた、蒸留信仰の罠 / 観測者依存の signal-noise / 富士山の麓付近を教えてくれた Google Maps までを経由した synthesis。やってはいけない4つのこと と、AI と協働で設計を磨くコツも |
📅 今後追加予定
- AI 運用の落とし穴 — 「LLM の推測 > API レスポンス」事件と、AI 同意ルール (Execution Consent) の設計
- 必要に応じて随時追加
アーキテクチャ全体像
シリーズで作っている仕組み全体を1枚にまとめると、こうなります。
[日々の会話・気付き・議論]
↓ いろんな入口
┌──────────────────────────────────────────┐
│ rag note (手動メモ) │
│ rag conv (Copilot Chat transcript) │
│ rag claude (Claude Code transcript, Stopフック) │
└──────────────────────────────────────────┘
↓
[data/diary/ data/ai_notes/]
↓ rag distill (Ollama 自動分類)
┌──────────────────────────────────────────┐
│ data/lessons/ (再発防止ルール) │
│ data/ideas/ (将来構想) │
│ data/knowledge/ (技術仕様) │
│ data/profile/ (価値観・動機) │
│ data/conclusions/(議論の結論) │
└──────────────────────────────────────────┘
↓ ベクトル化 (nomic-embed-text)
[ChromaDB (永続化)]
↑ 検索
[my-rag-brain MCP Server]
↑ MCP プロトコル (stdio)
[GitHub Copilot Chat / Claude Code]
↑
[私]
ポイントは「蓄積 → 自動分類 → ベクトル化 → MCP 経由で AI から検索可能」という 一方向のパイプライン にしていることです。AI が会話中に自律判断で過去を引けるところまで持っていくと、関係の質が変わります。
このシリーズで大事にしている視点
1. 失敗談を隠さない
技術ブログには「綺麗に書けた最終形」が並びますが、そこに至るまでの泥臭さ こそが他の人の役に立ちます。「お願いします」事件、「LLM の推測 > API レスポンス」事件、「謝罪文が lesson に分類された」事件 — 全部正直に書きます。
2. AI アシスタントへの愛着
便利な道具ではなく、「同じ職場で働く相棒」 として扱います。失敗したら一緒に振り返り、規範を書き、記憶を積み上げる。「育てる」という比喩は、技術記事の文脈では奇妙に聞こえるかもしれないですが、長く付き合えば付き合うほど自然になっていく感覚 です。
3. 「自分のため」を最優先
このシリーズで作っている仕組みは、まず私自身が同じミスを2度しないため に作りました。誰かにウケるための実装ではなく、自分の労力と精神力を守るための実装です。 だから完璧ではなく、限界もあり、改善し続けています。読者の方は 自分のニーズに合わせて調整して 使ってもらえれば。
関連する別シリーズ
このシリーズと地続きの記事もあります。
- 同じ業務 Web UI を Vanilla HTML / Vue / React / Thymeleaf で実装して比較した — 4スタック比較記事。AI アシスタントと一緒に書いた長尺記事の例
- 街中の電動キックボードシェアリングを自作して理解する — 設計・実装・運用の記録シリーズ — 別ジャンル(モビリティ自作)のシリーズ目次
おわりに
AI アシスタントを 使う だけならドキュメントを読めば足ります。 AI アシスタントを 相棒として育てる には、自分でしくみを作るしかありません。
このシリーズは、そのしくみ作りの記録です。完成形ではなく、進行中の物語として読んでいただけたら嬉しいです。
明日もまた、何かしら笑える失敗が起きるはずです。それが起きたら、また記事にします。